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乾式研磨

 近年にかけて、くるみ殻やコーンなど植物性有機物メディアと研磨剤含有のペースト状コンパウンドを用いて水を一切使わない仕上げ研磨が乾式で行われる傾向にあります。この方法は、水を使用しないため、排水処理の必要がなく、公害、作業環境のクリーン化など時代の要請にこたえる形で湿式バレルや羽布研磨に代わって注目されてきています。さらに最近では全工程に対応した乾式研磨システムも開発され、より注目を浴びています。

 乾式バレル研磨の方式としては、回転バレル機、遠心バレル機にメディア、コンパウンドと多数の加工物(ワーク)を装入、混合して研磨する方式のほか、バレル漕内の治具に加工物を個々に取り付け保持させて研磨する方式があります。加工物が比較的大きく、互いにぶつかって打痕が生じ易いもの、たとえば、ゴルフのアイアンヘッド、メッキ前の水栓金具、眼鏡フレームなどは、遠心バレル槽内を小さく区切り、加工物を一個ずつ装入し研磨する方式が採用されています。


乾式研磨と湿式研磨の比較

 ISO14000シリーズ取得に関連し、今日ではバレル研磨の分野においても、従来の水を必要とする湿式バレル研磨より、乾式バレル研磨への移行や導入への要望が高まっています。バレルメーカー各社が乾式バレル研磨の技術の確立を目指しているものの、粗研磨の領域では、部品同士の打痕や研磨粉付着の問題、集塵粉の処理などの問題があり、適用できる部品が少ないのが現状です。

 仕上げ分野についての湿式バレルとの大きな違いは、水を使わないことの他に、メディア(研磨材)の違いがあります。湿式バレルではセラミック系メディアを使用することから、バレル研磨中に、セラミックメディアが部品表面に対して表面硬化を起こします。表面硬化を起こした部品は、後工程の仕上げバフの工程ではバフが掛かりにくく、思った様な鏡面の光沢が得られないことが多い。
 乾式バレルでは、クルミの殻やトウモロコシの芯を粉砕し、小サイズに整粒したものを使用するため、部品表面に与える影響が少なく、綿バフで仕上げたような仕上げが得られます。
  研削 精密研削
乾式研磨 乾式研磨 ・水処理の必要がない(河川を汚さない)
・作業が簡便
・クリーンな環境
・立地条件が比較的容易
・鏡面光沢が得られる
湿式研磨 湿式研磨 ・排水距離装置が必要(設備、敷地、ランニングコスト)
・水洗・洗浄が必要
・汚れる
・鏡面光沢が出ない

羽布研磨との比較

  • バフ加工に比べ量産
  • バフ加工以上の鏡面が得られ、しかも仕上りが均一
  • クリーンな環境で熟練を必要としない
  • バフ作業者の減少の解消
  • 複雑形状品も加工可能
  • 変形しない、角だれしない
  • バフ自動化、バフロボットに比べ設備費が安価
  • バフ加工に比べランニングコスト安価
  • バフカスの洗浄工程を必要としない

乾式メディアの種類

主に有機物のメディアで嵩比重が0.4から0.6g/lのものが使用されています。主としてくるみ、コーンが乾式チップの全体の9割以上を占めています。  
 最近、人造のナイロンチップ(DRメディア)が粗研磨用として使用されるようになっています。ナイロンチップは天然チップより耐摩耗性に優れ、粗研磨用として高い研削力を示します。

種類 サイズ 用途
くるみ #5~#120 中仕上、光沢用 管楽器、眼鏡、時計ケース
コーン #5~#120 中仕上、光沢用 眼鏡、時計ケース
木チップ 5×10mm 粗研磨用 プラスチック製品
8~10mm 粗研磨用 プラスチック製品、ボタン
綿の実 3~5mm 光沢用 -
アンズ実 #5~#120 光沢用 管楽器、眼鏡、時計ケース
ナイロンチップ 2∅×3L 3∅×3Lmm 粗研磨用 眼鏡、水洗金具