技術情報
トップページ >> 技術情報 >> 研磨技術
お問い合わせはこちらから

研磨技術

ホーニング

 ホーニングは円筒内面の精密仕上法の一種で中ぐりまたは内面研削を行ったものを、能率良く真円度、真直度およびその面粗さを向上させるためのものです。
 この方法は1926年にアメリカのBarnes社が自動車エンジンのシリンダ仕上げ用に作ったものが最初で、その後次第に発達してきて大型ディーゼル機関のシリンダ、油圧機械のシリンダ、燃料噴射弁のバレル内面、精密バルブの内面等もホーニングで仕上げられるようになりました。現在では円筒内面の仕上げのみならず、外面ホーニングや平面ホーニング等も行われていて、能率的な加工法となっています。
 ホーニングも本質的には砥石を構成する砥粒の切削作用によるものですが、研削作業に比べて次のような様々な特徴があり、真円度、真直性、表面粗さなどの良好な耐摩耗性のある面が得られます。

  • 砥粒にかかる力の方向がホーニングのストロークごとに変わっていて砥粒のへき開を促進するため、砥粒切れ刃の切れ味がよい。
  • 研削に比べて低速度、低圧力であるから、加工変質層は少ない。ホーニングの切削速度は50m/min前後であり、また砥石と加工物とは面接触をするために砥粒切れ刃の一つ一つにかかる押し付け力はせいぜい数グラムである。したがって、切削熱の発生もわずかで表面が劣化することは全然ない。
  • 加工孔の真円度と真直度が向上する。これは長い棒状の砥石を面接触させて、円錐棒のくさび作用によって砥石保持具を平均に張り出すように力をかけるからである。円筒内面で円周方向、軸方向を含めてもっとも小さい直径の部分がまず砥石に接触して削り取られる。軸方向の凹凸や曲がりも修正され、テーパも同様にして修正される。
  • 仕上げ面の粗さがよく、寸法精度が向上する。ホーニング作業では砥粒にかかる荷重が小さいだけでなく、砥粒の粒度も研削砥石に比べてかなり小さい。そのため、#600以下の細かい砥粒を使えば、1μ以下の粗さの面が容易に得られる。したがって、寸法精度も良くなり、最近では自動定寸装置の発達により、いっそう能率よく同一寸法の部品が得られるようになった。

超仕上げ

 超仕上げも砥石を用いる精密仕上げ法の一種です。すなわち、粒度の細かい比較的結合度の弱い棒状砥石を用いて、割合に低い圧力で加工物に面接触をさせ、砥石と加工物との間に相対往復運動を与えて仕上げる方法です。砥石に往復運動を与える点がホーニングとは根本的に違っています。さらに、低い圧力で加工するため、最初悪口面が粗い間は砥粒による微細な切削作用を行いますが、面が平滑になってくると自動的に砥石が目つまりして磨き作用を行うようになります。この点が最大の特徴で、鏡面仕上が割合容易に得られます。
 超仕上げの特徴、特にホーニングやラッピングに比べて優れている点をいかに示します。

  • 単一の砥石を使い同じ加工条件で作業しても、砥石は自己ドレッシングと目つまりを繰り返して、容易に鏡面仕上が得られます。適当な砥石と加工液を選ぶことによって、作業の自動化が可能である。
  • 加工能率が非常に良好で、普通の自動車部品の超仕上げ時間はわずかに一分前後です。これは、砥石に振動を与えるため砥粒の切削方向がいろいろに変化して砥粒の破砕の機会が多く、常に鋭い切れ刃が砥石面に現れるためである。
  • 加工面の耐摩耗性がよく、超仕上げを施した軸は軸受負荷能力が優れている。これは低圧力、低速度でしかも鋭い切れ刃で加工するため熱の発生が少なく、いわゆる加工変質層を生じないためです。また、鏡面で凹凸がないので、軸受油膜を損破することがないためである。
  • ただ一つの欠点は、砥石圧力が弱いばねまたは油圧で弾性的に加えられているため、加工物の真円度や不平坦を全面的に修正する事は困難だということである。前工程において十分にこれらの精度を出しておき、超仕上げとしては単に表面の粗さをよくすることであるといえる。

ラッピング

 ラッピングは加工物とラップ工具との間にバラバラの微細なラップ剤を入れ、それらをお互いにこすりあわせて加工物表面をわずかずつ削り取って滑らかな仕上げ面を得ようとする精密加工法の一種です。ラップ工具はその形によってラップ板、ラップ棒、またはラッピングなどと呼ばれ、加工物より柔らかくて摩耗に強い材料で作られます。ラップ剤は硬い鉱物質の結晶を破砕した細粒で、普通は油やグリースと混合して使用されます。
 ラッピングは太古より金属や宝石を磨く方法として行われてきましたが、現在でももっとも精密な部品の最終仕上げの一つとしてなお広く実用されています。たとえば、ブロック、ゲージ、鋼球、燃料ポンプのバレル内面、あるいはレンズ、プリズムなどの光学ガラスなどは、ラッピング以外の方法ではこれを効率よく仕上げることは不可能なのです。


超音波加工

 超音波加工は工具と加工物との間に砥粒を含む液体を満たしておいて、工具に超音波振動を与え、砥粒を加工面に衝突させて加工を行うものです。一種のラッピングとも考えられますが、ガラスや水晶などもろい材料の穴開けに便利です。
 その構造は、電源を入れることによって高周波発振装置を励起して、それを超音波振動子に伝えて16~29kc/sの振動を発生させます。これをホーンと呼ばれる工具保持器に伝え、その円錐部の作用によって超音波振動の振幅を拡大しそれを工具に伝えます。加工物と工具とは、砥粒を含む加工液の容器の中に入っているので、適当な送り装置によって工具を下げていけば、加工物には工具の形そのままの穴が開くことになります。この方法は1950年頃アメリカで開発された新しい加工法で、工具を回転する必要がないので複雑な形をした穴が開けられるほか、プレスの方やコイニングの型等の製作にも用いられています。


吹付(ブラスト)加工

 ブラスト加工は、投射材、たとえばスチールショット、スチールグリット又はカットワイヤー等の鉄系、非鉄系、あるいはアランダム、ガラスビーズ、ケイ砂又はクルミ殻等の非金属系の投射材を遠心投射式、エアー加速式、ベルト投射式又は水噴射式のブラスト加工機によって投射し表面仕上げを行う方法です。その適用範囲は、表面清浄、バリ取り、梨地仕上げ、装飾仕上げ、ショットピーニングなど多岐に渡り、加工物の表面処理の前加工として非常に重要な役割を担っています。
 ブラスト加工の中でもっとも広く使用されているのが鋼板などのスケール落としです。メッキ処理、アルマイト処理、メタリコン処理、コーティング、接着処理、塗装処置などの前工程として、ブラスト加工を行うことによって、上記の表面処理において格段の品質向上が期待できます。
 表面改質としてのブラスト加工の中で最も重要な加工はショットピーニングです。これは金属の表面にスチールショットなどの加工物より硬い投射材を吹き付けることによって、その表面を滑らかにし、金属表面の硬化、金属の疲労による破壊の限界を著しく延ばすことが出来ます。実際には、0.6~0.9mm径の鋼球を40~60m/sの高速度で金属表面に噴射させることにより表面は微細な梨地状の凹凸になりますが、衝撃による荷重が弾性変形を越えて塑性変形が生じ、表面および表面下のわずかな部分で結晶の形と方向が変化します。その結果、表面より0.2~0.4mmくらいの深さまで、硬さの上昇が認められ、70~90kg/mm2の圧縮残留応力が生じ、疲労強度が向上します。


バレル研磨法

 バレル研磨は、バレル漕中にメディア、コンパウンド、(水)、および加工物を入れ、回転、振動、などにより加工物とメディアに相対運動を生じさせ加工する方法です。
 これまで、一般的には湿式で加工されてきましたが、最近では仕上げ研磨だけでなく、全工程を乾式による加工で行えるようにもなりつつあります。
バレル研磨の応用範囲は広く、金属、合成樹脂、セラミックス、貴石などのバリ取り、粗、中、仕上げ研磨ができます。加工法の特徴としては次のようなものがあります。

○多量の加工物を一回の処理で仕上げる。
○加工物全面を形状にならって仕上げる。
○金属の場合、加工面に薄い硬化層を生じ、摩耗に対する耐性が向上する。

 メディアとしては、人工研磨石、ケイ石、砂、金属球、プラスチック、くるみ殻、コーンなどがあり、仕上げの精度に応じて使い分けられています。


研削加工

 研削加工法は高速に回転している研削砥石を用いて、その砥石を構成する極めて硬い微細な砥粒によって加工物をわずかずつ削り取ってゆく精密加工法の一種です。以前は、研削砥石の作用は加工物表面をこすり仕上げるものと考えられ「研磨」という術語が使われていましたが、最近では、バイト削りやフライス削りの金属切削と同じように切削を発生していることが明らかになり、「研削」と呼ばれるようになりました。

研削砥石の3要素5因子

■3要素

  • (1)砥粒(Grain)…切刃として、加工物を削る主要な働きをする。
  • (2)結合剤(Bond)…砥粒を結合し保持している。
  • (3)気孔(Pore)…砥粒と結合剤の間にある空隙で切削の逃げを助ける。

■5因子

  • (1)砥粒の種類
  • (2)粒度
  • (3)結合剤の種類
  • (4)結合度
  • (5)組織

電解研削

 電解研削法は、超硬合金のダイヤモンド砥石研削の際に、ダイヤモンド砥粒の消耗を少なくして砥石の寿命を延ばす方法として考案されたものです。1950年頃からアメリカで実用されはじめ、金属イオンの電気化学的溶解と機械的研削とを併用したものです。

 その要領は、メタルボンドのダイヤモンド砥石と加工物の間に数ボルトの直流電圧をかけ、適当な電解液を十分にかけながら、接触面の1cm3当たり数アンペアの電流を流すようになっています。加工物を陽極にしておけば、その金属の分解電圧以上で金属イオンの流出が起こります。ダイヤモンド砥粒は主として極間距離を正しく保つ役割をするもので、機械的には軟弱な陽極生成物を掻き取るだけであるのでその減耗は極めてわずかになります。加工能率はもっぱら通った電流値によって定まり、電解におけるファラデーの法則から加工量を推定することができます。


研磨布紙加工

 研磨布紙加工法の中でもっとも一般的なものはベルト研磨法です。これは布製のベルトの片面に砥粒を合成接着剤を用いて固着させ、これを適当なプーリの間に高速に走らせ、その表面に加工物を押し付けて仕上げようとするものです。機械化されたペーパー仕上げです。

 固定砥粒による加工法ではありますが、砥石を用いる加工法と比べて曲面でも自由に仕上げられる点と、砥粒の配列は一重であるから原則としてドレッシングが利かない点が違っています。木工用のベルト・サンダーは以前から実用されていましたが、耐水性の接着剤による良質の研磨ベルトができるようになったのは1945年頃からです。


液体ホーニング

 粒子としては微細な砥粒を用い、水と混ぜてどろどろにしたものを圧縮空気を用いて加工面に吹き付ける方法です。酸化アルミニウムや炭化ケイ素の#80位の粒子(直径0.2mm)から、細かい方では天然ケイ砂の#3000位(直径5μ)のものまで用いられます。

 加工面は滑らかで、ピーニング効果もあるので、フライス・カッターやタップ等の切削工具、あるいは精密なコイルばねなどに適用されます。また、加工面は梨地のツヤ消し面となるので、目盛り板の仕上げにもよく、さらに、歯車の歯面に適用して騒音や振動を減少させた例もあります。


羽布(バフ)研磨

 羽布研磨は羽布ホイールを高速回転させて研磨する方法で、その点では機構的にはグラインダー研磨とよく似ていますが、その大きな特徴、相違点は羽布の弾性を用いて被研磨物の形を損なわずに表面を所定の粗さにまで効率よく研磨することが可能だということです。

 羽布研磨は砥粒の切削作用で仕上げるもので、羽布車は研削砥石と同じような働きをします。切り屑は研削の際と同じように火花となって飛び散り、加工能率はかなり良好です。その被削剤は鉄、ステンレス、黄銅、その他の金属材料、およびプラスチックなどの非金属材料など非常な広範囲におよんでいますが、特にメッキの下地研磨、あるいはステンレス材の表面研磨などには欠かせないものとなっています。羽布研磨にはエメリー羽布(羽布にエメリーを膠着して研磨する)として素地研磨を目的として使用される場合、#(メッシュ)の小さいエメリー羽布に油脂研磨剤を併用して中間仕上げを行う場合、また仕上げ磨きとして油脂研磨剤のみで光沢面を得る目的で使用される場合などがあります。


チタン部品の研磨

 チタン部品の鏡面仕上げに対する要望は、年々高まってきています。一般的なチタン材の問題として、熱伝導率が低いことによるバフ焼けがあるため、バレル研磨を用いて仕上げる事がほとんどです。ただし、乾式バレル研磨の場合でも、研磨槽内の高温化により十分な鏡面が得られない場合もありますが、当社のDC1000型機では、それぞれのポットに高温対策として、通気口を設けているため、ステンレス材と同様な高速回転での仕上げが可能です。  乾式鏡面加工の前工程としては、バフなどの手作業を簡略化し、湿式バレルを組み合わせて加工する場合が多い。プラスチックメディアを用いることにより、メディアによる加工表面の打痕を極力抑え、表面粗さで1.0~1.5μmRyまで処理した後に、乾式高速遠心バレルで鏡面に仕上げる工程を提案しています。部品例として、洋食器、カメラ部品、人工骨、工具、時計部品などが挙げられますが、今後ますます増加の傾向にあるといえます。